DeepSeekが画像を読むモデルを追加料金なしで公開——写真1枚が384トークンで頭打ちになる
2026.08.22 朝 | 株式会社NGraph
2026年8月21日、中国のAI企業DeepSeekが、画像を読み取れる新しいAPIモデル「deepseek-v4-flash-vision-exp」を公開しました。テキストのみで使う場合と同じ価格で画像を送れる、実験的な視覚理解モデルです。結論から言うと、これは中小企業にとって、現場の写真をAIに読ませる費用が先に計算できるようになったという話です。
何が起きたか
DeepSeekのChange Logには、8月21日の項として deepseek-v4-flash-vision-exp の公開が記載されています。ベンチマークはTerminal Bench 2.1で83.9、Chartography(図表の読み取り)で64.3。DeepSeekはテキストのみの能力(エージェント動作・推論・世界知識など)はdeepseek-v4-flashと同等で、画像理解を要するエージェントのベンチマークではv4-flashから大きく前進し、Opus-4.8に近づくとしています。ただしこれはDeepSeek社の自己申告で、第三者による検証ではありません。
価格ページによると、deepseek-v4-flash-vision-expの単価はdeepseek-v4-flashとまったく同じです。入力はキャッシュヒット時オフピーク100万トークンあたり0.007ドル・ピーク0.014ドル、キャッシュミス時はオフピーク0.22ドル・ピーク0.44ドル、出力はオフピーク0.66ドル・ピーク1.32ドルとなっています。上位モデルdeepseek-v4-proの出力(オフピーク1.98ドル)と比べると、画像を読ませる用途では明確に安いモデルという位置づけです。
なぜ重要か
価格が同じだからといって、画像の扱いも他社と同じというわけではありません。DeepSeek公式のVisionガイドは、推論の前にすべての画像を自動でリサイズすると説明しています。総画素数がおおよそ384×384を下回る画像は拡大し、それより大きい画像は縮小して、リサイズ後の総画素数をおおよそ800×800相当にそろえる設計です。この結果、画像1枚あたりのトークン数には384トークンという上限が生まれます。2000×2000pxの画像も5000×5000pxの画像も、リサイズ後は同じトークン数として扱われる計算になります。
一方、当ブログが2026年8月20日の記事で公式ドキュメントから検証した数字では、1920×1080pxのスクリーンショット1枚のトークン数は、OpenAI GPT-4o(high detail)で約1,105、Claude標準ティアで1,560、Claude高解像度ティアで2,691でした。並べると、同じ1枚の写真が送り先によって384〜2,691トークンに開くことになります。
同じ1枚の写真が、送り先で384〜2,691トークンに開く
この比較は、物差しが完全にはそろっていません。DeepSeekの384は「どんな寸法の画像でも超えない上限」で、他社の数字は「1920×1080という特定の寸法での実数」です。DeepSeekが少なく見えるのは、推論前に約800×800相当まで画像を縮小しているからで、性能で上回っているという意味ではありません。安さは、解像度を落とすことと引き換えです。
中小企業は何をすべきか
- いま自社のどの業務で「写真をAIに読ませて」いるかを1つ挙げる。棚卸し、検品、契約書の撮影確認など、思ったより多くの業務が候補になります。
- その写真で読ませたいのが「全体の様子」か「小さい文字」かを分ける。後者は画像の縮小に弱く、DeepSeekのように先に縮小してから読む設計では読み取れなくなる場合があります。
- 1枚あたりのトークン数を各社の公式ドキュメントで確かめてから、枚数を掛ける。単価だけでは費用は見積もれません。画像1枚が何トークンになるかを先に確認してから、想定枚数を掛けます。
その他の注目ニュース
- デジタル化・AI導入補助金2026、第4次締切は8月25日17時 — 公式サイトの事業スケジュールによると、通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠の第4次締切、複数社連携デジタル化・AI導入枠の第2次締切は、いずれも2026年8月25日(火)17時です。締切を過ぎるといかなる理由でも受け付けないと明記されています。gBizIDプライムを未取得なら、取得に時間がかかるため今回は間に合わない可能性が高いです。
- 生成AIで宿題の点は上がり、試験の点は下がったという研究結果 — 中国の中学・高校生26,811人を30か月追跡したCEPRの研究は、AI導入で宿題の点数が18%上昇した一方、6か月以内に月次試験の点数が20%低下したと報告しています。学習損失はAI利用者のおよそ80%に集中し、その層は宿題の外注に一致する行動(極端に短い所要時間と高い宿題点数)を示していました。論文自体は2026年6月2日の公開で、今週になって英語圏で広く読まれています。社員にAIを配るときも、差を作るのは使ったかどうかではなく、時間ごと外注したかどうかです。
- Anthropic、サイバー防御側にClaude Mythos 5を開放 — Anthropicは2026年8月21日の発表で、サイバー防御側にClaude Mythos 5のセキュリティ機能を開放し、オープンソースの脆弱性修正などに3,500万ドル分のクレジットを配る基金を新設したと明らかにしました。Claude Enterpriseの顧客は自社コードベースを走査し、修正案を得られます。中小企業が直接使う話ではなく、攻撃側にも同じ性能が出回る前提で、防御側の道具が追いついてきたと読むべきです。
・DeepSeek「Change Log | DeepSeek API Docs」
・DeepSeek「Models & Pricing | DeepSeek API Docs」
・DeepSeek「Vision | DeepSeek API Docs」
・デジタル化・AI導入補助金2026「事業スケジュール」
・CEPR「DP21577 The Generative AI Learning Penalty: Evidence from Chinese Secondary Education」(David Strömberg・Victor Lei・Yanhui Wu・2026年6月2日)
・Anthropic「Bringing the cybersecurity capabilities of Claude Mythos 5 to more defenders」(2026年8月21日)
・あわせて読む:AIの請求は、文字ではなく画像で膨らむ——同じ1枚が2.4倍ひらく理由と、9割引きになる読み直しの仕組み(当ブログ・2026年8月20日夕)
・あわせて読む:AIは入れ替わる。会社に残るのは、この4つだけ——正本・手順・権限・検査(当ブログ・2026年8月22日ガイド)
