DeepSeekが8月17日にAPIを最大12倍へ値上げ——日本の業務時間が丸ごと割高な時間帯に入る理由
2026.08.15 朝 | 株式会社NGraph
DeepSeekの公式APIドキュメントによると、現行料金は世界共通の基準時刻であるUTCで2026年8月16日16時に切れ、日本時間では8月17日午前1時から新料金に切り替わります。新料金はピークとオフピークの2本立てで、ピーク時間帯の単価は現行の最大約12.1倍まで上がります。結論を先に言うと、これは中小企業にとって、安いから選んだAIの単価は契約したあとも動く、という話です。
何が起きたか
DeepSeekの現行料金は日本時間8月17日午前1時に終了し、新料金へ切り替わります。新料金はピークとオフピークの2本立てで、公式ドキュメントは「オフピークはピークの半額」と説明しています。ピーク時間帯はUTCで01:00から04:00、06:00から10:00の合計7時間で、それ以外はすべてオフピークです。
単価はモデルと項目ごとに違います。上がり幅が一番大きいのはv4-proの入力のうちキャッシュ命中分で、現行の100万トークンあたり0.003625ドルが、ピーク時には0.044ドルまで上がります。倍率にすると約12.1倍です。出力の倍率はv4-proで約4.6倍、v4-flashで約4.7倍にとどまります。値上げの理由については、公式の料金ページに記載を確認できていません。
なぜ重要か
このピーク時間帯を日本時間に直すと、10時から13時と15時から19時になります。日本の平日は9時から19時までの10時間が営業時間の目安になりますが、そのうち7時間がピーク帯に重なります。同じ時間帯を中国標準時に直すと9時から12時と14時から18時になり、こちらは中国の一般的な業務時間とほぼ一致します。つまり時間帯の設計は中国の業務時間を基準に組まれていて、日本から使うと業務時間の大半が割高な側に落ちる形になります。
倍率が一番大きいのは、入力のうちキャッシュ命中の部分です。キャッシュ命中とは、同じ内容を短い間隔で繰り返し送ったときに、AI側がその処理を再利用して安く済ませる仕組みのことです。社内のマニュアルや定型の指示文を毎回同じ形で送るような使い方をしている会社ほど、この割引の縮小がそのまま費用に響きます。
モデルと項目ごとの倍率を並べると、次の図のようになります。
上がり幅が一番大きいのは、繰り返し使うときの割引
海外の開発者コミュニティでは、値上げの幅そのものより、時間帯によって単価が変わる仕組みが月額の見通しを立てにくくする点を問題視する声が出ています。ただしこの母集団は自分でAPIを叩く開発者であり、中小企業の経営者ではありません。時刻を選べない業務を抱える現場では、単価が動くこと自体より、動く時間帯が自社の営業時間とどう重なるかのほうが先に効いてきます。
中小企業は何をすべきか
- いま使っているAIの請求を、単価まで一度確認する。多くの会社は月額の合計しか見ていません。どのサービスを、どの単価で、どれだけ使っているかを一度洗い出しておくと、値上げが来たときに影響の大きさをすぐ判断できます。
- 自社のAI処理を、時刻を選べるものと選べないものに分けて数える。夜間にまとめて回せる集計や下書き作成と、客を待たせられない受付対応やその場での回答は、単価が動いたときの動かし方がまったく違います。
- 安さだけを理由に選んだツールは、乗り換えの手間を先に見積もっておく。設定のやり直し、出力の検査、運用の載せ替えには時間がかかります。単価が動いた日に初めて数え始めると間に合いません。
その他の注目ニュース
- IBMがOpenAIとの提携を8月13日に発表 — 自社のコンサルティング基盤にOpenAIのモデルとCodex、ChatGPT Workを組み込み、数千人規模のコンサルタントとエンジニアを訓練する専門チームを新設すると発表しました。対象業種は金融・政府・通信・小売で、業務は財務、調達、カスタマーオペレーション、人事です。中小企業への一言: 大企業には現場に入る人が数千人単位で用意されますが、中小企業には同じ規模では来ません。
- 中小企業省力化投資補助金の第8回は8月18日公募開始 — 申請受付は9月中旬、締切は10月中旬を予定していますが、公式サイトには詳細は後日案内するとあり、現時点ではまだ予定段階です。補助上限額は従業員規模に応じて750万円から8,000万円まで区分され、補助率は中小企業が2分の1、小規模企業者・小規模事業者が3分の2です。中小企業への一言: 対象経費の詳細はまだ出ていないので、いま動くとすれば見積もりの準備までです。
- Googleが準同型暗号のコンパイラHEIRを8月14日に公開 — データを暗号化したまま計算できる準同型暗号の実装を助けるオープンソースのコンパイラを、プライバシー保護技術ツールキットに追加しました。サーバー側は暗号文のまま処理し、暗号化された結果を返すので、中身を見ずに推論を行えます。中小企業への一言: 顧客データを外部のAIに預ける抵抗感を下げる技術で、数年単位でコストが下がってくる分野です。
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・DeepSeek「Models & Pricing」(2026年8月15日閲覧)
・IBM「IBM Partners with OpenAI」(2026年8月13日)
・中小機構「中小企業省力化投資補助金(一般型)」(2026年8月15日閲覧)
・Google「How Google is making private AI practical with homomorphic encryption」(2026年8月14日)
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