イーロン・マスクが公開したコードから逆算する、Xの伸ばし方——いいねは0.5点、リンクコピーは20点
2026.08.17 ガイド | 株式会社NGraph
Xが2026年8月13日、おすすめ欄(For You)を決めているアルゴリズムのコードを大幅公開しました。公開先はGitHubリポジトリxai-org/x-algorithmで、ライセンスはApache License 2.0です。誰でも無料で複製・改変ができる、ソフトウェアの世界で広く使われるライセンスの一つで、中身を隠さない意思表示にもなっています。私たちはこのコードを実際にクローンし、重みの数値が並ぶファイルを行番号まで読みました。この記事でわかるのは、いいねやリンクコピーといった行動ごとの重みの実数、SNSで流通している解説とコードの実際がどこでズレているか、そしてコードから逆算してXの発信をどう変えるかの3点です。
・いいね0.5点からリンクコピー20点まで、行動ごとの重みの実数
・「フォローは+12」など広まっている解説とコードの実際のズレ
・コードから逆算した、Xを伸ばす5つの行動
何が公開されたか——8月13日の大幅公開とUnder the Hood
公式リポジトリの更新履歴によれば、2026年8月13日の公開で新しく加わったのは3つです。利用者がその後どう行動するかを予測する重み、投稿の表示・非表示を判定するフィルタのコード、そして予測モデル「Phoenix」を学習させるコードです。同じ日に、投稿を表示するか・非表示にするか・ワンクッション挟んで表示するかを判定する可視性フィルタリングと、ボット運用者などにラベルを付ける仕組みも公開されました。8月14日にも更新があり、ブラジルの選挙法に対応するフィルタが追加されています。この追加は、変更の存在とその中身がコードで確認できる例として紹介されていました。
公開に合わせて、透明性ツール「Under the Hood」も使えるようになりました。x.com/i/under_the_hood で、自分のアカウントや投稿に表示制限のラベルが付いているかどうかを、集計の形で見られます。
点数の正体は「行動確率×重み」
公開されたコードの説明を読むと、For Youの並び順は単純な足し算ではありません。「Phoenix」というモデルが、その利用者がその投稿に対していいね・リプライ・通報といった各行動を取る確率を予測します。そのうえで、行動ごとに決められた重みをその確率に掛けて合計する式で、最終的なスコアが決まります。式で書くと、最終スコアはΣ(重み×行動の確率)です。次の章から、この重みの実数を見ていきます。
重みの実数——いいねは0.5点、リンクコピーは20点
重みの数値は、param.rsという設定ファイルに行動ごとに書かれています。私たちが2026年8月14日時点のコードで確認した主な数値は次のとおりです。
重みの実数——いいねは0.5点、リンクコピーは20点
重い順に並べると、序列がそのまま物語になります。頂点はリンクコピーの20点で、いいねの40倍です。次にリプライ・引用・DM共有が5点で並び、フォローが4点。いいねは0.5点しかなく、プロフィールクリックは0点で最終スコアに影響しません。マイナス側も同じで、最も重い通報がマイナス234.0点、ミュートがマイナス58.8点、興味なしがマイナス43.2点、ブロックがマイナス31.2点と続きます。投稿を見ても滞在しなかった場合は、マイナス0.02点というごく小さな減点です。
| 行動(重い順) | 重み |
|---|---|
| リンクコピー | 20.0 |
| リプライ | 5.0 |
| 引用 | 5.0 |
| DM共有 | 5.0 |
| フォロー | 4.0 |
| 共有 | 2.0 |
| リポスト | 1.0 |
| いいね | 0.5 |
| クリック | 0.4 |
| リンクを開く | 0.2 |
| 写真展開 | 0.05 |
| 動画オープン | 0.05 |
| プロフィールクリック | 0.0 |
| マイナスの行動(減点が重い順) | 重み |
|---|---|
| 通報 | -234.0 |
| ミュート | -58.8 |
| 興味なし | -43.2 |
| ブロック | -31.2 |
| 滞在しなかった | -0.02 |
広まっている数字とコードのズレ
フォローの重みは「+12」ではなく4.0
ネット上の解説記事には、フォローの重みを「+12」とするものが広まっています。しかし私たちが読んだコードでは、フォローの重みは4.0でした。表の中では中位の重みで、リプライや引用の5.0より軽く、共有の2.0より重い位置にあります。
README自身が警告する「件数換算」の誤解
公式のREADMEは、よくある誤解を名指しで注意しています。重みは行動の予測確率に掛かる数値であって、件数に掛かる倍率ではありません。通報の重みはマイナス234.0、いいねの重みは0.5なので、単純に割り算すると468倍という数字が出ます。README原文はこの割り算そのものについて「a report has 468 times higher weight than a like」という比較は成り立つとしながら、そこから「通報1件がいいね468件分を打ち消す」と結論づけるのは誤りだと書いています。行動ごとに確率の出方がそもそも違うため、件数どうしを直接比較する計算は成立しません。
逆に、広まっている解説が正しかった点
ズレばかりではありません。私たちが確認した範囲では、連投減衰の数値、相互フォローブーストの適用条件、フォロー外の投稿に掛かる係数、投稿から48時間で対象外になる期限、Cold Startという救済枠の存在については、広まっている解説とコードが一致していました。誤りが目立つのは重みの実数のような細部で、大枠の骨格は正しく伝わっていたことになります。
| 項目 | 広まっている解説 | コードの実際 |
|---|---|---|
| フォローの重み | +12 | 4.0 |
| 通報といいねの関係 | 通報1件でいいね468件を相殺 | 件数の相殺ではなく確率への重み |
| 連投減衰の数値 | 2本目0.625等 | 一致 |
| フォロー外の係数 | 0.75倍 | 一致 |
| 投稿の対象期限 | 48時間 | 一致 |
自社の投稿が件数ではなく確率で評価されている前提を踏まえて発信を組み立てたい方は、無料相談・無料AI診断からご相談ください。
連投・相互フォロー・フォロー外の実装
同じ著者の連投は2本目から減衰する
同じ著者の投稿がタイムラインに連続して並ばないよう、連投には減衰の係数がかかります。数値はAuthorDiversityDecay 0.5、AuthorDiversityFloor 0.25です。計算すると、同じ著者の1本目の係数は1.0、2本目は0.625、3本目は0.4375、4本目は0.34375で、0.25という床に近づいていきます。
同じ著者の連投は、2本目から表示が減衰する
相互フォローブーストが効くのは「オリジナル投稿だけ」
相互フォロー関係にある著者からの投稿を強くする重みもparam.rsにあります。値はBidirectionalFollowReplyWeightBoost 15.0です。適用条件を書いたコード、ranking_scorer.rsの180〜193行を読むと、この加点が効くのはリプライではなくリポストでもない、相互フォローの著者による投稿だけでした。対象の投稿が「リプライされる確率」に掛かる重みが、5.0から20.0に引き上がります。強くなるのは相互フォロー相手のオリジナル投稿だけで、相互フォロー相手へのリプライやリポスト自体はこの加点を受けません。
フォロー外は0.75倍、投稿は48時間で対象外になる
フォローしていない著者の投稿は、スコアに0.75を掛けた値で評価されます。名前はOonWeightFactorです。投稿から48時間を過ぎると、候補を絞る段階でAgeFilterが除外します。設定名はMAX_POST_AGE、記載はconfig.rsの36行です。
小さいアカウントが救済される4つの条件
フォロワーが少ないアカウントのための仕組み「Cold Start」も、param.rsの647〜679行に書かれています。条件は4つ重なっていて、どれか1つでも外れると対象になりません。
| 条件 | 数値 |
|---|---|
| フォロワー数の上限 | 1,000以下 |
| 試験表示の枠 | おすすめの15〜16枠目 |
| 元のランキングの条件 | 上位85%以内 |
| 投稿からの経過時間 | 24時間以内 |
このうち4つ目、投稿から24時間以内という条件は、私たちが確認した範囲では、広まっている解説には出てきていませんでした。フォロワー1,000以下という条件だけを覚えていても、投稿から時間が経てば対象から外れます。
通報についてもREADMEは補足しています。通報の影響は主に、通報した人と似た利用者への推薦に効くという説明です。悪意のある大量通報が、全員に対して同じだけランキングを下げるわけではありません。
コードから逆算する、Xの伸ばし方
ここまでの実数は、そのまま行動に翻訳できます。明日の投稿から変えられる順に5つ並べます。
①「誰かに送りたくなる1本」を狙って書く——狙う数字はリンクコピー20点
いいねの40倍の重みが付いているのは、リンクをコピーして別の場所に貼る行動です。DMでの共有も5点で、いいねの10倍あります。つまりXが一番評価するのは「これ、あの人に教えたい」と思われた投稿です。書く前に、送り先になる1人を決めてください。手順・一覧・実数のような、投稿単体で用が足りる中身がコピーされます。成否の確認は、投稿のアナリティクスでいいねより先にブックマークと共有の数を見る。この見る場所の変更が、一番安い行動です。
②本数を絞る——2本目は0.625倍に減る
同じ著者の投稿は同じ画面の中で2本目から減衰し、4本目でほぼ床です。1日1〜3本に絞り、削った時間を1本の密度に回してください。薄い投稿を5本出すより、①の条件を満たす1本のほうが、係数の上でも得です。
③伸ばす本体はオリジナル投稿に置く——相互フォローの加点はオリジナルだけ
相互フォロー相手のオリジナル投稿には大きな加点が付きますが、リプライとリポストはこの加点を受けません。リプライで関係を作るのは今も有効です。ただしそれは相互フォローを増やすための入口で、増えた相互フォロワーに届く本体は、あなたのオリジナル投稿です。絡みに使う時間と、オリジナルを磨く時間の配分を、後者に寄せてください。
④フォロワー1,000以下は「最初の24時間×読者のいる時間」に懸ける
小規模アカウントの救済枠に乗れるのは、投稿から24時間以内で、最初の評価が上位85%に入った投稿だけです。投稿時間を散らすのではなく、自分の読者が起きて反応できる時間帯に固定し、最初の反応を確実に取りに行く。24時間を過ぎた投稿の再浮上は仕組み上ほぼ無いので、伸びなかった投稿は書き直して新規で出し直します。
⑤届けない相手を決める——ミュートの重みはマイナス58.8
負の重みは正の重みより一桁大きく、興味のない人に届き続ける投稿は、ミュートと「興味なし」で沈みます。全員向けの宣伝を繰り返すより、誰向けかを1行目で分かるようにして、違う人には最初からスルーさせるほうが安全です。自分のアカウントに表示制限のラベルが付いていないかは、Under the Hoodで先に確認できます。伸びない原因が書き方ではなくラベルなら、直すべき場所が違います。
よくある失敗——NGパターン
- ①解説記事の数字をそのまま鵜呑みにする。フォローの重みを「+12」と信じて発信を組み立てると、実際の4.0とは前提がずれます。
- ②重みを件数の倍率と読み違える。通報1件はいいね468件分、という計算はREADME自身が誤りだとしています。重みは確率に掛かる数値です。
- ③古い版の数字と混同する。この記事の数値は2026年8月14日時点のコードに基づきます。時期がずれれば数値も変わり得ます。
- ④バズを狙って同じアカウントから連投する。2本目から係数が下がるため、投稿を増やすほど1本あたりの表示は不利になっていきます。
自社の発信をこの実数に合わせて組み立て直したい方は、無料相談・無料AI診断からご相談ください。
よくある質問
自分でコードを読むには何が必要ですか
リポジトリxai-org/x-algorithmはApache License 2.0で公開されています。GitHubで無料で閲覧でき、重みの数値はhome-mixer/params/param.rsというファイルにまとまっています。プログラムを書けなくても、数値だけを追って確認することはできます。
自分のアカウントがシャドウバンされているか確認できますか
8月13日の公開と同時に、透明性ツール「Under the Hood」が使えるようになりました。x.com/i/under_the_hood で、自分のアカウントや投稿に表示制限のラベルが付いているかどうかを、集計の形で確認できます。
通報1件はいいね468件分の重みですか
違います。通報の重みはマイナス234.0、いいねの重みは0.5で、単純に割ると468倍という数字が出ますが、README自身がこの計算を誤りだと述べています。重みは行動の予測確率に掛かるものであり、件数の倍率として使う数字ではありません。
パラメータの数値は今後も変わりますか
変わり得ます。READMEは、実験を通じて重みが調整されることを前提にしています。この記事の数値は2026年8月14日時点のコードに基づくもので、時期がずれると変わっている可能性があります。
2023年に公開されたコードと何が違いますか
この記事は2026年8月13日と14日の更新を対象にしています。README上、この時点で予測行動の重み・フィルタのコード・Phoenixモデルの学習コードが新たに加わったと明記されており、以前の公開内容とは対象範囲が異なります。数値の比較まではこの記事では行っていません。
まとめ
Xは2026年8月13日、For Youアルゴリズムのコードを大幅公開しました。実際に読むと、いいねは0.5点、リンクコピーは20点で40倍の差があります。フォローの重みは、広まっている「+12」ではなく4.0でした。README自身は、重みを件数の倍率として読む誤解を名指しで注意しています。連投は2本目から係数が下がり、相互フォローブーストが効くのはオリジナル投稿だけで、フォロワー1,000以下のアカウントは投稿から24時間以内が救済の対象です。中小企業の発信で見るべきは、いいね数ではなく、コピーされて送られる1本を作れているかどうかです。
・xai-org「x-algorithm」(GitHubリポジトリ・2026年8月13日大幅公開、8月14日更新確認)
・X「Under the Hood」(透明性ツール・2026年8月13日公開)
・あわせて読む:省力化投資補助金は生成AIの月額料金を補助しない(当ブログ・2026年8月17日夕)
