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最低賃金2026年度はいつから・いくら?47都道府県別の想定時給と発効日——目安55円・全国平均1,176円

2026.08.03 夕 | 株式会社NGraph | 最終更新 2026.08.07 最低賃金2026年度はいつから・いくら?47都道府県別の想定時給と発効日——目安55円・全国平均1,176円

厚生労働省・中央最低賃金審議会が2026年7月28日に示した令和8年度(2026年度)の最低賃金の目安は、全国加重平均で55円の引き上げ・1,176円です。ただしこれはあくまで「目安」であり、確定額ではありません。実際の引上げ額と発効日は、都道府県ごとに違いますそして2026年度は、この記事の時点でまだどの県も確定していません——8月から各都道府県の地方最低賃金審議会が答申し、都道府県労働局長が額と発効日を決めます。「いつから」を今の時点で知る唯一の手がかりは、前年に自分の県がいつ発効したかです。令和7年度は、最も早い栃木の2025年10月1日から、最も遅い秋田の2026年3月31日まで半年ひらきました。この記事では、①47都道府県それぞれの2026年度の想定時給、②前年の発効日の実績から読む「いつから」、③自社の賃金が下回っていないかの確認方法、④9月1日に受付が始まる業務改善助成金までを、一次情報の数字だけで解説します。

この記事でわかること
47都道府県別——いまの時給・その時給になった日・2026年度の想定時給の一覧
「いつから」の実際——令和7年度に10月中に発効したのは47のうち20都道府県だけ。6県は年を越した
自社チェック——月給の労働者が最低賃金を下回っていないかを厚労省のセルフチェックシートの式で確かめる方法
・最低賃金の引上げ率4.9%と、日商調査の小規模企業の賃上げ率3.38%がズレる理由
・9月1日に受付が始まる業務改善助成金を含め、中小企業が今から準備すべき3ステップ

2026年度の最低賃金はいくら上がるのか——目安55円・全国加重平均1,176円

2026年7月28日、第75回中央最低賃金審議会は「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安」を答申しました。全国加重平均で見た引上げ額の目安は55円、これがそのまま反映されれば全国加重平均は現在の1,121円から1,176円になります。引上げ率にすると4.9%です。目安は都道府県を経済実態に応じてA・B・Cの3つのランクに分けて示されており、その内訳は次のとおりです。

ランク引上げ額の目安対象の都道府県
Aランク54円6都府県=埼玉・千葉・東京・神奈川・愛知・大阪
Bランク56円28道府県=北海道・宮城・福島・茨城・栃木・群馬・新潟・富山・石川・福井・山梨・長野・岐阜・静岡・三重・滋賀・京都・兵庫・奈良・和歌山・島根・岡山・広島・山口・徳島・香川・愛媛・福岡
Cランク56円13県=青森・岩手・秋田・山形・鳥取・高知・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄

47都道府県のうち41道府県がBまたはCランクで56円、残る6都府県がAランクで54円という配分です。上げ幅の目安が大きいのは、東京・大阪ではなく地方の側だという点が、令和8年度の目安の特徴です。ここで必ず押さえておきたいのは、目安は目安であり、実際の引上げ額は各都道府県労働局長が決定するという点です。中央最低賃金審議会の答申はあくまで参考値です。実際、令和7年度の改定では、都道府県ごとの引上げ額は63円〜82円と幅がありました。令和7年度については、2025年9月5日に全都道府県の答申が出そろっています。令和8年度も、8月から各都道府県の地方最低賃金審議会が審議・答申し、その額を都道府県労働局長が決定する流れです。

47都道府県別——あなたの県の2026年度の想定時給はいくらか

目安はランクごとにまとめて示されるため、自分の県がいくらになるのかは一覧にしないと見えません。次の表は、いま適用されている時給(2025年度=令和7年度の確定額)に、2026年度のランク別目安(Aランク54円/B・Cランク56円)を足した想定時給です。

先に、列の読み方だけ:「いまの時給」=2025年度(令和7年度)に確定して、いま適用されている最低賃金。「この時給になった日」=その時給がその県で適用され始めた日で、右端の想定時給がその日から適用されるという意味ではありません。「目安」=2026年度のランク別の引上げ目安(Aランクの6都府県が+54円、ほかの41道府県が+56円)。「2026年度の想定時給」=いまの時給に目安を足しただけの想定であって、確定額ではありません2026年度の発効日は、まだどの県も決まっていません——8月から各都道府県の地方最低賃金審議会が答申し、そこで初めて額と発効日が決まります。それでもこの列を載せているのは、前年に自分の県がいつ発効したかが、今年の見込みを立てる唯一の手がかりだからです。福井なら2025年10月8日、秋田なら2026年3月31日で、この差はそのまま今年も出る可能性があります(次のセクションで詳しく書きます)。
都道府県いまの時給この時給になった日目安2026年度の想定時給
北海道1,075円2025年10月4日+56円1,131円
青森1,029円2025年11月21日+56円1,085円
岩手1,031円2025年12月1日+56円1,087円
宮城1,038円2025年10月4日+56円1,094円
秋田1,031円2026年3月31日+56円1,087円
山形1,032円2025年12月23日+56円1,088円
福島1,033円2026年1月1日+56円1,089円
茨城1,074円2025年10月12日+56円1,130円
栃木1,068円2025年10月1日+56円1,124円
群馬1,063円2026年3月1日+56円1,119円
埼玉1,141円2025年11月1日+54円1,195円
千葉1,140円2025年10月3日+54円1,194円
東京1,226円2025年10月3日+54円1,280円
神奈川1,225円2025年10月4日+54円1,279円
新潟1,050円2025年10月2日+56円1,106円
富山1,062円2025年10月12日+56円1,118円
石川1,054円2025年10月8日+56円1,110円
福井1,053円2025年10月8日+56円1,109円
山梨1,052円2025年12月1日+56円1,108円
長野1,061円2025年10月3日+56円1,117円
岐阜1,065円2025年10月18日+56円1,121円
静岡1,097円2025年11月1日+56円1,153円
愛知1,140円2025年10月18日+54円1,194円
三重1,087円2025年11月21日+56円1,143円
滋賀1,080円2025年10月5日+56円1,136円
京都1,122円2025年11月21日+56円1,178円
大阪1,177円2025年10月16日+54円1,231円
兵庫1,116円2025年10月4日+56円1,172円
奈良1,051円2025年11月16日+56円1,107円
和歌山1,045円2025年11月1日+56円1,101円
鳥取1,030円2025年10月4日+56円1,086円
島根1,033円2025年11月17日+56円1,089円
岡山1,047円2025年12月1日+56円1,103円
広島1,085円2025年11月1日+56円1,141円
山口1,043円2025年10月16日+56円1,099円
徳島1,046円2026年1月1日+56円1,102円
香川1,036円2025年10月18日+56円1,092円
愛媛1,033円2025年12月1日+56円1,089円
高知1,023円2025年12月1日+56円1,079円
福岡1,057円2025年11月16日+56円1,113円
佐賀1,030円2025年11月21日+56円1,086円
長崎1,031円2025年12月1日+56円1,087円
熊本1,034円2026年1月1日+56円1,090円
大分1,035円2026年1月1日+56円1,091円
宮崎1,023円2025年11月16日+56円1,079円
鹿児島1,026円2025年11月1日+56円1,082円
沖縄1,023円2025年12月1日+56円1,079円
全国加重平均1,121円+55円1,176円

※「2026年度の想定時給」は、いまの時給にランク別の目安額を足しただけの計算値です。実績でも確定額でもありません。実際の額は各都道府県労働局長が決定するため、目安を上回ることも下回ることもあります(令和7年度は目安を上回った県が複数ありました)。「この時給になった日」は2025年度改定の実績で、2026年度の発効日ではありません。
出所:厚生労働省「令和7年度地域別最低賃金全国一覧」「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について」より作成。

想定どおりに進んだ場合、1,200円を超えるのは東京(1,280円)・神奈川(1,279円)・大阪(1,231円)の3都府県だけです。最も低いのは高知・宮崎・沖縄の1,079円で、最高額と最低額の差は201円。令和7年度の203円(東京1,226円と高知・宮崎・沖縄の1,023円)から、わずかに縮まる計算になります。1,100円以上になるのは28都道府県で、47のうち過半数です。

この表の額を自社の賃金テーブルに当てはめると人件費がどう動くか、一緒に整理したい方は無料のAI導入診断・無料相談からご相談ください。

最低賃金はいつから上がるのか——令和7年度に「10月中」だったのは20都道府県だけ

「最低賃金はいつから上がるのか」への正確な答えは、「都道府県ごとに違う」です。全国一律に10月1日から切り替わるわけではありません。厚生労働省の令和7年度の全国一覧で発効日を数えると、これだけばらけています。

令和7年度、10月中に発効したのは47のうち20都道府県だけ

令和7年10月20都道府県令和7年11月13都道府県令和7年12月8都道府県令和8年1月4都道府県令和8年3月2都道府県「10月1日から上がる」で人件費を見込むと、県によっては発効が半年ずれる出所:厚生労働省「令和7年度地域別最低賃金全国一覧」より作成

10月中に発効したのは47のうち20都道府県、10月10日までに限ると13都道府県です。11月が13、12月が8、そして6県は年を越しました——福島・徳島・熊本・大分が2026年1月1日、群馬が3月1日、秋田が3月31日です。

この差は、そのまま負担の始まる時期の差になります。栃木は2025年10月1日から1,068円が適用されました。一方、秋田で1,031円が適用され始めたのは2026年3月31日で、それまでの半年間は改定前の951円のままでした。同じ「令和7年度の改定」でも、人件費が増え始める時期が半年違うということです。「10月から時給が上がる」という前提だけで年間の人件費を見積もると、県によっては見込みが大きくずれます

令和8年度についても流れは同じで、8月から各都道府県の地方最低賃金審議会が審議・答申し、都道府県労働局長が額と発効日を決定します。自社の都道府県の発効日は、答申が出たあとに都道府県労働局の発表で個別に確認してください。上の表の発効日はあくまで令和7年度の実績です。

自社の賃金は最低賃金を下回っていないか——月給の人の確認方法

時給で払っている人は、時給の額をそのまま比べれば済みます。判断が難しいのは月給の人です。厚生労働省が配布している「最低賃金に関するセルフチェックシート」は、次の手順で確認するよう示しています。

手順計算
①賃金基本給+役付手当+住宅手当+交替手当を合計する
②時間1日の所定労働時間数 × 年間総労働日数 ÷ 12 = 1か月の所定労働時間数
③時間額① ÷ ② = 時間額。これが自分の都道府県の最低賃金額以上か

ここで間違えやすいのが、総支給額で計算してしまうことです。最低賃金法第4条第3項と同法施行規則第1条により、次の賃金は最低賃金との比較に算入しません

加えて、法第4条第3項第三号により各地域別最低賃金の定めの中でも算入しない賃金が指定されており、厚生労働省のセルフチェックシートで①に足す手当として挙がっているのも基本給・役付手当・住宅手当・交替手当の4つだけです。精皆勤手当・通勤手当・家族手当を足して「最低賃金を上回っている」と判断していないか、確認してください。

下回っていた場合:最低賃金法第4条第2項は、最低賃金額に達しない賃金を定めた労働契約はその部分について無効とし、無効となった部分は最低賃金と同じ定めをしたものとみなす、と規定しています。つまり本人が合意していても無効で、差額の支払い義務が残ります。さらに同法第40条により、地域別最低賃金額以上の賃金を支払わなかった者は50万円以下の罰金の対象です。

「4.9%」と「3.38%」——最低賃金と中小企業の賃上げ率がズレる理由

目安どおりに改定されれば、最低賃金の引上げ率は4.9%です。一方、日本商工会議所が2026年6月8日に公表した「中小企業の賃上げ・賃金改定に関する調査」(調査期間2026年4月7日〜5月18日、回答企業数2,260社、全国47都道府県・345商工会議所が回収)によると、従業員20人以下の小規模企業の賃上げ率は3.38%、賃上げ額は9,170円にとどまっています。同じ「賃上げ」というテーマなのに、なぜ数字が違うのでしょうか。答えは、この2つがそもそも別のものを測っているからです。

比較軸最低賃金の引上げ率(4.9%)日商調査・小規模企業の賃上げ率(3.38%)
何の数字か法定の下限額を引き上げる率(目安)実際に支払われている賃金の改定率
母集団全都道府県ですべての労働者に適用される下限商工会議所の会員企業のうち回答した2,260社(うち小規模企業)
時期2026年10月以降、都道府県ごとに順次発効見込み2026年4月7日〜5月18日時点の調査
決まり方審議会の目安→各都道府県労働局長が決定(企業の意思とは無関係に効く)各社の経営判断(賃上げ実施・予定・未定を自社で選べる)

最低賃金の引上げは、企業が「賃上げをするかどうか」を選べるものではなく、法定の下限そのものが底上げされる仕組みです。一方、日商調査の3.38%は、各社が自社の経営判断で決めた賃上げの結果です。母集団も、全労働者に適用される法定の下限と、商工会議所会員のうち回答した2,260社という調査サンプルとでは、性質がまったく違います。したがって、定義が違う2つの数字を単純に比較することはできません

ただし、単純比較はできなくても、「法定の下限の方が、企業の賃上げより速いペースで上がっている」という向き自体は、2年続けて同じ方向を示しています。令和7年度の最低賃金の引上げ率は約6.3%(後述)、令和8年度は目安どおりなら4.9%。いずれも、中小企業の賃上げ率(令和8年度は小規模企業で3.38%)を上回るペースです。これが意味するのは、賃金テーブルの下の方(最低賃金に近い層)が、上の方の賃金水準に向かって圧縮されていくということです。新人と数年目の社員の時給差が、毎年少しずつ縮まっていく構造だと捉えると分かりやすくなります。

2年で121円——「上がり方」そのものが変わった

この圧縮は今年に限った話ではありません。2年分の推移を並べると、上がり方そのものが変わってきたことが見えます。令和7年度の改定では、全国加重平均は改定前の1,055円から改定後の1,121円へ、66円引き上げられました。これは昭和53年度に目安制度が始まって以降、最高額の引上げ幅です。そして令和8年度は、目安どおりなら1,121円からさらに55円上がって1,176円になります。2年を通算すると、1,055円→1,176円で+121円・約11.5%という上がり方です。

全国加重平均の推移——2年で121円

1,055円 令和6年度末 +66円 1,121円 令和7年度改定後 +55円 1,176円 令和8年度(目安どおりなら)

出所:厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について」(2026年7月28日)・「全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました」(2025年9月5日発表)より作成。令和8年度の1,176円は目安どおりに決定した場合の参考値で、確定額ではありません。

地域差にも変化が出ています。令和7年度の改定では、最高額は1,226円、最低額は1,023円で、最低額を最高額で割った比率は83.4%(前年度81.8%)となり、地域差は縮まる方向に動きました。令和8年度の目安でもAランク(6都府県)が54円、B・Cランク(41道府県)が56円と、上位ランクの方が引上げ幅が小さい配分になっています。仮に目安どおりに決まった場合、前年度の最低額の県(1,023円)は1,079円になる計算です。ただし繰り返しになりますが、これは目安どおりに進んだ場合の計算値であり、実際の額は各都道府県労働局長が決定します。

中小企業の現場では何が起きるか——増える人件費を「例えば」で計算する

時給が55円上がると、現場の人件費はどれくらい増えるのでしょうか。ここからは実績の数字ではなく、「例えば」の計算例として読んでください。パート・アルバイトが1人1日6時間・月22日稼働する場合、月の労働時間は1人あたり132時間です。これを人数別に並べると、増加額は次のようになります。

月の総労働時間(例)時給+55円の月間増加額年間増加額
660時間
(例:5人×6時間×22日)
36,300円435,600円
1,320時間
(例:10人×6時間×22日)
72,600円871,200円
2,640時間
(例:20人×6時間×22日)
145,200円1,742,400円

※すべて「時給+55円」を前提にした計算例で、実績ではありません。社会保険料などの法定福利費の負担増は含んでいません。

時給を直すだけなら計算はここまでです。しかし人件費を吸収する方法は、時給を上げないことではなく、総労働時間そのものを減らすことにもあります。私たちの現場経験からも、そのことがよく分かる事例があります。

現場の話:私たちはいま、福井の飲食グループ本部(12店舗)の業務のAI化に取り組んでいます。最初のヒアリングで見つかったのは、原価管理のExcelが約2年間更新されずに止まっていたこと、新人向けの入社ガイダンスに年間約100人・1人あたり実質約4時間(説明1時間+移動+入退社事務)がかかっており、年間400時間規模になっていたことでした。時給が上がる局面で効くのは、「1時間あたりの単価が上がっても、そこにかかる総時間そのものを減らせれば、増加分を吸収できる」という発想です。時給だけを見ていると、この打ち手は見えてきません。

賃上げの原資はどこから出るか——値上げ・採用減・省力化の3択

人件費が増えた分の原資は、基本的に3つの選択肢に集約されます。値上げ、採用を絞る、そして省力化です。この3つは、効果が出るまでの時間軸が大きく違います。

賃上げの原資3択——効果が出るまでの時間軸

値上げ 効果は即効 リスク:客数が 減る可能性 採用を絞る 効果は即効 リスク:現場が 回らなくなる 省力化 立ち上がりは遅い 効果が時間とともに 積み上がる 即効 時間はかかるが積み上がる

値上げと採用を絞る対応は、どちらも効果が早く出る一方、値上げは客数減、採用抑制は現場が回らなくなるリスクをそれぞれ抱えます。省力化は立ち上がりに時間がかかりますが、一度定着すれば効果が積み上がっていくのが特徴です。日商の調査では、賃上げを実施・実施予定の企業が全体で71.3%(実施済39.2%+予定32.2%)に対し、現時点で未定の企業は全体で23.0%、小規模企業では31.2%にのぼります。小規模企業の3社に1社近くが、賃上げそのものをまだ「未定」と回答している状態です。原資の見通しが立たなければ、賃上げの可否も決められません。

ここで大事なのは、一般論として「省力化しましょう」と言うことではありません。「どの業務の時間を減らすか」を先に決めることが、ツールを選ぶより先に来るという順序です。時間がかかっている業務が分からないままツールを導入しても、削減できる時間が見えず、原資の計算もできません。

何から手をつけるか——9月1日までにやる3ステップ

令和8年度の目安が出た今、都道府県ごとの確定額が出る前から準備できることがあります。特に、厚生労働省の業務改善助成金は令和8年度分の交付申請の受付が2026年9月1日に始まる予定で、この制度を使う場合は準備に時間がかかります。

ステップやること誰がいつまでに
棚卸し時間のかかっている業務を洗い出し、対象人数と労働時間を把握する経営者・現場責任者できるだけ早く
制度確認業務改善助成金(事業場内最低賃金を50円以上引上げ+設備投資が要件)が使えるか確認する経営者・総務担当9月1日の受付開始前
申請準備設備投資の見積もりを取り、コース区分・助成額を厚労省の案内で確認して申請する総務担当・専門家9月1日以降、速やかに

業務改善助成金は、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を50円以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資などを行った場合に、その費用の一部を助成する制度です。助成額・助成率はコース区分や事業場内最低賃金の額によって変わるため、この記事では確定できる金額を書きません。厚生労働省の令和8年度の案内で必ず確認してください。制度の相談窓口として、業務改善助成金コールセンター(0120-366-440・平日9:00〜17:00)が用意されています。

省力化そのものの進め方は、省力化投資補助金の記事デジタル化・AI導入補助金の記事でも解説しています。設備投資に使える補助金と、業務改善助成金は別制度なので、両方の要件を確認しながら組み合わせを検討するのが現実的です。

よくある失敗・NGパターン5つ

最低賃金の対応でつまずきやすいパターンを5つ挙げます。

自社の賃金テーブルと業務の棚卸しを一緒に整理したい方は、無料相談・無料AI診断からご相談ください。

よくある質問

2026年度の最低賃金はいつから上がりますか?

令和7年度の引上げは、2025年10月1日(栃木)から2026年3月31日(秋田)までの間に、都道府県ごとに順次発効しました。10月中に発効したのは47のうち20都道府県、10月10日までなら13都道府県で、福島・徳島・熊本・大分・群馬・秋田の6県は年を越しています。令和8年度も同じ仕組みで、目安をもとに各都道府県労働局長が改定額と発効日を決定します。全国一律で特定の1日に切り替わるわけではありません。

自分の県の最低賃金は2026年度にいくらになりますか?

目安どおりに決まった場合の試算では、東京1,280円・神奈川1,279円・大阪1,231円が上位3都府県、高知・宮崎・沖縄の1,079円が最も低くなります。この記事の「47都道府県別」の表に、いまの時給・引上げの目安・2026年度の想定時給を全県分載せています。ただし想定時給はいまの時給にランク別の目安額を足した計算値であり、確定額ではありません。実際の額は各都道府県労働局長が決定します。

月給の場合、最低賃金を満たしているかはどう計算しますか?

厚生労働省の「最低賃金に関するセルフチェックシート」では、①基本給・役付手当・住宅手当・交替手当の合計を出し、②1日の所定労働時間数×年間総労働日数÷12で1か月の所定労働時間数を出し、③①÷②で時間額を求めて、自分の都道府県の最低賃金額と比べる、という手順を示しています。賞与、残業代、休日出勤手当、深夜割増分、通勤手当、家族手当などは算入しません。総支給額で割ると時間額が実際より高く出るので注意してください。

最低賃金より低い賃金でも、本人が合意していれば有効ですか?

有効になりません。最低賃金法第4条第2項は、最低賃金額に達しない賃金を定めた労働契約はその部分について無効とし、無効となった部分は最低賃金と同じ定めをしたものとみなす、と規定しています。合意の有無にかかわらず差額の支払い義務が残ります。また同法第40条により、地域別最低賃金額以上の賃金を支払わなかった者は50万円以下の罰金の対象です。

目安の55円は必ずその額になりますか?

なりません。55円は第75回中央最低賃金審議会が2026年7月28日に示した「目安」であり、実際の引上げ額は目安を参考にしながら、各都道府県労働局長が地域の実情を踏まえて決定します。目安どおりになるとは限りません。

東京・大阪(Aランク)の方が上げ幅の目安が小さいのはなぜですか?

令和8年度の目安はAランク54円、B・Cランクはともに56円です。この記事では目安の理由そのものには踏み込みませんが、令和7年度に最低額の県と最高額の県の比率が83.4%(前年度81.8%)へ縮まったことが分かっており、地域差を縮める向きの目安が続いていると読めます。

パート・アルバイトも対象ですか?

地域別最低賃金は、産業や雇用形態にかかわらず、その都道府県内で働くすべての労働者に適用される仕組みです。パート・アルバイトも対象に含まれます。

賃上げの費用を補助する制度はありますか?

厚生労働省の業務改善助成金があります。事業場内最低賃金を50円以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資などを行った場合に費用の一部が助成される制度で、令和8年度の交付申請は2026年9月1日に受付開始予定です。助成額・助成率はコースや事業場内最低賃金の額によって変わるため、厚労省の令和8年度の案内で確認してください。

AIやツールの導入はどこから手をつければいいですか?

いきなりツールを選ぶ前に、どの業務にどれだけの時間がかかっているかを棚卸しするのが先です。「AIを導入したのに現場で使われない3つの理由」「AI導入の費用はいくらか」もあわせて参考にしてください。棚卸しの結果、削減できる時間が見えてから、省力化投資補助金やデジタル化・AI導入補助金など、費用を抑える制度と組み合わせて検討します。

まとめ

令和8年度の最低賃金は、目安どおりなら全国加重平均で55円引き上げの1,176円(引上げ率4.9%)です。都道府県別に試算すると、1,200円を超えるのは東京・神奈川・大阪の3都府県、最も低いのは高知・宮崎・沖縄の1,079円になります。ただしこれは目安から計算した値であり、確定額は各都道府県労働局長がこれから決定します。そして「いつから」の答えは全国一律ではありません。令和7年度に10月中に発効したのは47のうち20都道府県で、6県は年を越し、秋田は2026年3月31日でした。自社の県の発効日は個別に確認する必要があります。一方、日本商工会議所の調査では、小規模企業の賃上げ率は3.38%にとどまっており、法定の下限の方が企業の賃上げより速いペースで上がる状態が2年続いています。この差を単純比較することはできませんが、賃金テーブルの下の方が圧縮されていく向きは変わりません。人件費の増加分は、値上げ・採用抑制・省力化のいずれかで吸収するしかなく、日商調査では小規模企業の31.2%が賃上げの実施を「未定」と回答しています。事例やツールを探すより先に、自社のどの業務にどれだけの時間がかかっているかを棚卸しし、業務改善助成金の受付開始(2026年9月1日)までに準備を進める——それが、今回の目安から導ける最初の一歩です。

「どの業務の時間を減らすか」から、一緒に見つけます。

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参考(一次情報):
・厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について」(2026年7月28日公表・第75回中央最低賃金審議会答申)
・厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました」(2025年9月5日発表・令和7年度)
・厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」(令和7年度地域別最低賃金全国一覧・47都道府県の額と発効日/最低賃金に関するセルフチェックシート)
最低賃金法(第4条・第40条)/最低賃金法施行規則(第1条)・e-Gov法令検索
・日本商工会議所「中小企業の賃上げ・賃金改定に関する調査」(2026年6月8日公表)
・厚生労働省「業務改善助成金
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